こんにちはアルゴです。
過去10年くらい、本業をしながらも創作についていろいろ勉強して、未発表ながらもマンガや絵を下手なりにいろいろ作ってきました。
その上で、パースだとか、デジタル画材の使い方とか、本当にいろいろ勉強しました。
私が参考にしてきた創作に関する様々な本の中から、2つ、万人にオススメする本をご紹介します。
小説家 村上春樹さんの『職業としての小説家』
漫画家 手塚治虫さんの『マンガの描き方』
の2冊です。
ジャンルは違うお2人ですが、ゲームを作る人や、手芸をする人など含めて、幅広いクリエイターにとって参考になる巨匠の『創作論』を知ることができます。
もくじ
村上春樹さん著『職業としての小説家』
村上春樹さんは『IQ84シリーズ』『ノルウェイの森』など数々のヒット作を持つ、日本人なら皆知っている小説家です。
村上さんは大学時代に学生結婚をし、会社づとめで働きたくなかったのでカフェをオープンしました。その後、書いていた小説を出版社に応募したところ、新人賞をもらい、小説家としての活動がスタートしたそうです。
村上論① アタマの回転が早い人は小説家にむいていない
村上さんは本の中で、基本的に誰もが小説を書くことができるし、権利がある・・・と主張しています。
反面、頭の回転が早い人、物事をパパッと終わらせようとしている人はあまり小説家向きではないとも言っています。
たとえば、『富士山』について知ってみたいと思った時に・・・
●ふもとまで行き、「ああ、富士山はこんなものか。よくわかった」と満足して帰っていく人
●「実際に登らなきゃわからない」と思い、頂上まで登る人
小説家に向いているのは後者。
物事をじっくり余裕をもって考えられるだけの時間がある方がうまくいくみたいですね!
村上論② 外的評価について
村上春樹さんは今でこそ有名な小説家ですが、有名ゆえに、思いもよらない数々の批判も受けてきました。
『アンダーグラウンド』を出版した後に、「こんなものはノンフィクションじゃない!」と罵声を浴びせられたり、また、『芥川賞はなぜ村上春樹に与えられなかったか』という書籍もあるくらいです。
まぁ、小説に限らず、なにをするにも批判というのはつきものですよね。批判を受けたことのない人なんてこの世にいませんから。
たとえば画家のピカソも、生きている間には『変人』扱いされていました。彼の絵が評価されるようになったのは、彼が死んだ後です。
有名小説家ということもあり、批判を多く受けながらも、村上春樹さんは本当に肩の力を抜いて、自分の小説を書き続けています。
SNSで誹謗中傷を受けて自殺するような事件もある現代、村上さんのようなマインドが必要なんじゃないでしょうか?
大切なのは、その批判にどうむきあっていくか・・・?いかに自分の思うままに作品を作っていくかという事なんだと思います。
村上論③ 小説の中で結論を出さない
私は学生時代に村上春樹さんの『ノルウェイの森』を読んだのですが、初めて読んだ時は正直、
「いったい、この小説は、何を伝えたかったのだろう・・・?」
と思ってしまいました。まだ子供ゆえに、あの小説の凄さを理解できていなかったのです。
ですが今回、村上さんの本を読んで、
「書いている本人も、結論を書いていないんだ。」と思いました。
そして、それで良いのだと。
これは小説だけでなく、マンガやゲームにも通じることかもしれません。
手塚治虫さん著 『マンガの描き方』
故・手塚治虫さんは『鉄腕アトム』『ジャングル大帝』『ブラックジャック』など数々のヒット作品を生み出したマンガ会の巨匠です。
1989年に60歳の若さでお亡くなりになられました。
私の大好きなマンガ『火の鳥』も、最終編を見られることはなく、未完となっています。
この手塚治虫さんの『マンガの描き方』という本じたいも、もう40年以上前の本ですが、内容は現代に通じるものがあり、大変参考になります。
藤子不二雄さんも、手塚治虫さんに憧れてマンガの世界に飛び込んだのですから、その後の日本のマンガ会の道筋を示してくれたようなスゴイ人なのです。
手塚論① 表現は大げさで良い
先程村上さんの小説論をご紹介しましたが、表現が大げさというのはマンガだからできることなのかもしれませんね。
たとえば、殴られた直後にタンコブがふくれあがっていたり、バンソウコウが貼ってあったりという感じです。
現代のいくらシリアスなマンガといっても、時折、こういう表現が使われています。
私も素人のマンガ描きとして、大げさな表現を多様しているので、非常に後押しされるような言葉でした。
手塚論② 動物が描ければ人間も描ける
正確には、パット・サリバンという外国のマンガ家の「マンガを勉強するなら動物から」という言葉について、手塚さんが語られたものであります。
手塚さんのマンガの中にはとにかく動物がたくさん登場します。
しかもめちゃくちゃカワイイんですよね。手塚さんほど動物を可愛く描ける人は見たことありません。
手塚さんが言うには、動物に似た顔の人はたくさんいるとのこと(笑)。まぁ、人間は動物から進化していますからね!
「動物の顔をスケッチして特徴をつかまえることが、いかに、人間の似顔絵を描くのに大切なことか」と話しています。
日本は外国に比べて動物マンガって少ないようですね。私はあまり人間を描くことが得意ではないので、小さい頃から動物ばかり描いていて正解だった気がします(笑
手塚論③ 人間の動きなんてゴム人間でいい
私もマンガを描く上で、キャラクターのカラダの動きには苦労しました。
座っているところを上から描いたり、殴っているところを斜め下から描いたり・・・。
しかし手塚先生いわく、人間の動きはゴム人間でいいとのこと。
これはまぁ、ジャンルによっては通用しない部分もありますね。シリアスな場面で、急に腕が長くなったりすると不自然ですし…(笑
でもコミカルなマンガを描く人ほど、もっと肩の力を抜いて描きましょうということがいえると思います。手塚さんや藤子不二雄さんのマンガには、人間の関節を無視した描写が見られますが、読んでいて不自然に感じたことは一度もありませんからね。
手塚論④ ストーリーの作り方
個人的に非常に参考になった部分です。というのは、私は手塚先生の『火の鳥』で、そのストーリーの構成力に圧倒されてしまったからです。
(火の鳥に関しては過去に記事を書いていますので、こちらをご参照ください)
【スピリチュアル】生と死について考える漫画『火の鳥』【輪廻転生、因果応報】
ストーリーの作り方についても、私はいろいろな書籍を見て勉強していたところであります。
ただ、どれも難しいこと・・・抽象的な表現ばかりで、バカな私はそれらノウハウをあまり役立てることができませんでした。正直、ストーリー作りは苦手です。
でも、この本で書かれている手塚さんのストーリー構成法は極めてシンプル、わかりやすいです。そして、『火の鳥』のようなとんでもないお話を構築している人なのだから、これがまた説得力があります。
創作は自由だ
今回の記事では、村上春樹さんと手塚治虫さんの創作論に関する本をご紹介させていただきました。
ご紹介した2冊の本に共通していえるのは、創作は自由だということです。
「もっと気楽に好きなものを描いていこう」
そう言っているのです。
私自身は電子書籍でこれからもマンガを出版していくつもりです。今はコミックゲームブックを作っています。
とはいえ、本業の介護をしていくうえで、マンガをメインの仕事にすることは今後ないと思います。でも趣味の延長線上でやっていく上で、もうちょっと気長に、肩の力を落として好き勝手やっていこうかなと思いました。
何より大切なのは、作っていて楽しむことですね。
村上春樹さんは本の中で、「楽しくないなら小説を書いていてもしょうがない」と話していました。これは小説に限らず、すべての創作にあてはまることだろうと思います。